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有給休暇の取得は労働者の権利のひとつです。
家庭の用事や急な体調不良の時、または長期休暇を取りたい時などに給与をカットしなくとも休暇を取ることができる有給休暇は労働者にとってぜひとも活用したい制度といえます。
有給休暇は正社員に限定される権利ではないため、当然派遣社員であっても取得することができます。
ただし、働き方によっては発生する有給日数が変わる場合がありますので、有給休暇の知識を正しく身につけて把おくことが大切です。
そこで今回は派遣社員の有給休暇について、付与される条件や発生するタイミングなどを解説します。
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有給休暇とは
有給休暇とは、正式には年次有給休暇といい、労働基準法39条で定められている権利です。
年次有給休暇は一定の期間勤続した労働者に休暇を与える制度で、休んでいても減給されない休暇を意味します。
働き方改革による労働基準法の改正により、2019年4月以降は年10日以上の有給休暇を取得する権利を持つ労働者に対し企業が必ず年5日有給を取得させるという義務が生まれました。
(労働基準法第39条7)
この改正は「労働者」ではなく「企業」に課せられている義務のため、企業側から積極的に労働者に対しての有給取得を推進する流れが生まれました。
厚生労働省が発表した「令和2年就労条件総合調査 結果の概況」によると、平成31年(平成30年会計年度)では、労働者1人あたりに付与された有給の平均日数は18日となっています。
そのうち実際に有給休暇を取得した日数は10. 1日で割合で表すと56.3.%で、これは昭和59年以降過去最高の有給取得率です。
有給休暇の取得の義務化が決まるよりも前にあたる2014年時点では47.6%だった実績をみると、義務化によって有給取得率が増加したといえます。
派遣社員の有給取得条件
有給休暇は雇用条件に関係なく一定の条件を満たした労働者に与えられるため、パートタイム労働者や派遣社員でも取得が可能なケースは少なくありません。
派遣社員が有給休暇を取得するための条件は「働き始めてから6ヵ月以上継続的に勤務していること」と「6ヵ月の全労働日の8割以上に出勤したこと」の2つです。
ここでいう「働き始め」とは派遣先企業で初めて就労した日を指します。 派遣会社に登録した日ではありません。
継続的な勤務とは、同一の派遣会社で空白期間なく継続的に働き始めることを指します。
したがって派遣先企業が途中で変わったとしても、離職期間がなければ継続的な勤務とみなされます。
例えば5月に派遣会社に登録した方が6月1日から派遣先企業Aに派遣され、3ヶ月間継続的に働いたとします。
そして8月末に派遣先企業Aと契約更新し、引き続き12月末まで3ヶ月働いた場合は有給休暇を取得する権利が発生します。
また、6月初頭から8月末までの3ヶ月間は派遣先企業Aで働き、9月初頭から12月末まで派遣先企業Bで働いた場合も有給が取得できます。
この場合、派遣先企業が変わっているものの離職期間はないため、継続勤務と見なされます。
しかしながら、派遣先企業Aとの契約満了後に一度休職し、1ヶ月空いた10月から再び派遣先企業Aで働き始めた場合は、有給を取得することはできません。
なぜなら1月の時点で最初の派遣労働から6ヶ月経っているものの、1ヶ月の離職期間があるため有給取得条件を満たすことができないからです。
有給の付与日数
前述した2つの条件を満たしていれば有給を取得することができますが、付与される日数は 週当たりの勤務日数・1年間の定労働日により変動するので、注意が必要です。
例えば、フルタイム(週5勤務)の場合は勤務開始から6カ月目の時点で10日発生します。
しかし、週3日の時短勤務の場合、勤務開始から6カ月目の時点で発生する有給休暇の日数は5日となります。
このように、時短勤務や週5日以下の場合は働いた日数に応じて付与される有給日数が変わるため、フルタイム勤務をしている人と比べて付与される有給日数が少なくなります。
有給が付与されるタイミング
有給の取得条件として勤務開始から6か月間後に勤務日数に応じて付与されると述べましたが、2回目以降の有給が付与されるタイミングは初回の有給付与日から1年後です。
したがって先ほどの例に戻ると、6月1日から派遣先企業Aで働き始めた場合、最初の有給が付与されるのは1月頭です。
その後さらに6ヶ月継続勤務すると勤務開始から1年後に当たる6月頭にも有給の権利は継続的に発生しています。
しかしながら、追加の有給が付与されるのは初回の有給付与日から一年経った1月頭ということになります。
「計画付与」とは?
冒頭で年間10日以上の有給を付与された労働者に対して、企業は5日以上有給を使用させる義務があるとお伝えしました。
つまり、この条件に当てはまる労働者は最低5日は有給を使用できるよう法律で企業側に働きかけがされているといえます。
加えて、この確実に取得可能な5日を除いた残りの有給休暇の取得を促す制度として「計画付与」というものがあります。
これは5日を除いた残りの有給休暇をあらかじめいつ使用するか計画的に取り決めておく制度です。
労働者は有給休暇という権利を余すことなく行使でき、企業は労務管理を計画的に進めることができるため、両者にメリットがあるといえます。
計画付与は法的な義務があるわけではありませんが、厚生労働省が企業に対して奨励しているシステムのひとつです。
派遣社員の有給休暇の注意点
有給休暇はぜひとも活用したい便利な制度ですが、法律が絡むこともあり複雑なルールが存在します。
ここではしっかりと理解しておく必要のある有給休暇の注意点やルールを解説します。
有給の有効期限は2年間
たとえ条件を満たして有給が獲得していたとしても、この有給休暇には有効期限が存在します。
具体的には付与されてから2年間が有効期限と労働基準法で定められています。
そのため、翌年までは有給休暇を繰り越すことができますが、2年経てば消滅してしまうので注意が必要です。
知っておきたい2つの制度
有給休暇を活用する上で、「時季指定義務」と「時季変更権」という2つの制度について理解しておくことが重要です。
時季指定義務とは企業側が労働者に有給を取得する時季を指定しなければいけないというルールです。
多くの日本企業ではこれまで、労働者側が周囲や企業に遠慮して有給を取得したくても言い出しにくい問題が起きていました。
そこで働き方改革の一環として生まれたのが時季指定権です。
企業側から労働者に有給取得を促すことで有給をとりやすい環境を目指して生まれた 制度です。
なお、既に5日以上の有給を取得している労働者に対してはこの時季指定権は生じません。
時季変更権とは、労働者から申し出があった有給取得日を変更してもらうよう企業側が頼むことができる権利です。
具体的には複数の労働者が同じ期間に有給を希望した場合や、代替人員の確保が難しい状況下で労働者が長期的な有給を希望した場合など、有給取得によって事業運営が困難な場合にこの権利が発生します。
ただし、事業所の規模や従業員数などを加味する必要があります。
前提として有給は労働者が自由に行使できる権利なので、ルール上は企業側の都合に関係なく労働者が自由に日程を選んで有給を取得することができます。
そのため時季変更権は非常に弱い権利で、単純に「繁忙期で人手不足だから」という理由だけで行使はできません。
労働義務がない日に有給を取得することはできない
派遣社員の場合、フルタイムではなくシフト制で勤務されている方も多いです。
ここで注意が必要なのは、有給を使用できるのは労働義務がある日だけだという点です。
例えば、毎週月曜日から木曜日までの4日間出勤する条件で派遣されている方が有給を使用できるのは、労働義務のある月曜日から木曜日までのいずれかに限られます。
普段その職場で働いていない金曜日〜日曜日は、そもそも「休日」であり有給は使用できないため注意が必要です。
派遣先が変わっても有給日数は引き続きカウントされる
派遣先企業が変わったとしても、同一の派遣会社に登録して継続的に派遣業務に従事することで有給日数は引き続きカウントされます。
派遣社員の雇用主は派遣会社であるため、有給休暇も含めた福利厚生は派遣会社のものが適用されるためです。
ただし派遣契約が終了し、次の派遣先企業で働き始めるまでに一定以上の空白期間が生まれると、有給日数がリセットされてしまう場合が多いです。
この基準については派遣会社によって異なるので、各社のホームページで調べる、もしくは担当者に問い合わせをしてみるとよいでしょう。
有給取得を申請するときのコツとマナー
有給は労働者の権利であり、取得目的に関係なく自由に休暇を取得することができます。
とはいえ実際は自分が休んだ分の仕事を同僚にカバーしてもらう可能性が高く、周囲への配慮が不可欠です。
また、派遣社員の場合は派遣会社から有給を付与されますが、実際に有給によって影響が生まれるのは派遣先企業という複雑な構造をとっています。
有給申請は派遣会社にするため、派遣会社から派遣先企業に有給の届出がされる形式になります。
正社員や契約社員と比べると有給取得に手間や時間がかかりやすいため、より一層配慮が必要といえます。
ここでは有給を取得する際に重要な2つのマナーをご紹介します。
2週間以上前に直属の上司に相談する
有給を取得したい日付が決まったら、2週間以上前に派遣先企業の上司に相談し、許可がおり次第派遣会社の担当者にそれぞれ相談しましょう。
派遣先企業の上司に言い出しにくい場合は派遣会社の担当者に間に入ってもらうことが可能です。
しかし、人を介することで自分の意思が思った通りに伝わらない可能性もあるので、直接相談する方が望ましいです。
許可が降りたら同僚にも事前にきちんと伝える
派遣先企業・派遣会社の両方から許可がおり無事に有給を取得することができたら、派遣先企業で一緒に働く同僚にも伝えておきましょう。
理由の詳細を伝える必要はありませんが、自分がいない間フォローに回ってもらうため、一言挨拶をしておくことが大切です。
また、自分が担当している業務で必要な資料がおいてある場所や注意点なども合わせて伝えておくのが望ましいです。
まとめ
労働者にとって非常に重要な権利である有給は、雇用形態に関係なく取得することが可能です。
もちろん派遣社員であっても条件を満たせば有給を取得することができます。
ただし、派遣社員の場合は正社員よりも労働時間が短いため、取得できる有給日数が少ない場合が多いです。
また、派遣先企業と派遣会社の2社が関係してくるため、有給の申請時は注意が必要です。
有給休暇を含めた派遣社員の福利厚生は派遣先企業ではなく派遣会社のものが適用されるため、有給の条件については派遣会社の規則を参照しましょう。
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